謹啓 梅雨の季節を迎え、東北の被災地にとってはますます厳しい初夏が近づいています。一刻の猶予もないときに、この国のリーダーたちは政局にうつつを抜かす有様で、現政権の体たらくが招いた事態とはいえ何ともやり切れぬ思いを抱くのは多くの国民の率直な思いではないでしょうか。反面、被災者が甚大な被害と想像を絶する悲しみの中で、自らの力で立ち上がろうとしつつある意志力と行動力には、万丈の敬意を表せざるを得ません。
さて先般の第19回大会が、高橋由明前理事長をはじめ第6期役員諸氏、事務局、そして何よりも吉原正彦大会実行委員長ほか実行委員会諸兄のご尽力により、大成功裡のうちに閉幕しましたこと、大慶至極に存じ上げます。
そしてこの度、新役員の陣容がこの上ない顔ぶれで成立したことは当学会の継承と発展にとり誠に幸いなことと存じ上げます。ただ、その中で新理事長に小職が選出されたことについては、与えられた使命と責務に耐え得る人事であるか否か、多々評価の分かれるところであろうと拝察します。新理事会の席上でも申し上げましたように、自己評価によれば小職の出自は裏方役にあり、牽引役ではありません。しかし、幸いにも風間信隆先生と勝部伸夫先生を東西の副理事長にご就任頂きましたので、両先生の補佐を得ながら運営委員会の先生方と協議のうえ「成人式」を迎える学会運営に臨んで行きたいと考えております。
私たちに与えられた継承使命は、創立20周年記念大会と二つの記念事業(経営学史事典改訂版、経営学史叢書全14巻の刊行)の推進ですが、その実行は言うに及ばず、機あたかも大震災復興のときに、当学会20年の総括を踏まえつつ今後の20年に向けて当学会の発展をどのように展望し構想するかが問われているのではないでしょうか。難問ながら、私たちはこれに一定の道筋を拓く責任を課せられていると思料します。これは当学会の評価を懸けて総力を挙げて取り組むべき課題です。是非、役員の皆様の建設的意見とご協力を賜りたく、お願い申し上げます。